4.病気やけがで治療を受ける時の注意点
アンチ・ドーピング規程は,選手が必要な医療行為を受ける権利を妨げるものではありません。緊急の場合の処置や治療に必要な医療行為は認められていますが,事後に報告や申請が必要になる場合や喘息などのように治療薬の選択に規定のあるものもありますから注意してください。
- ①気をつけなくてはならない持病
喘息:
- ぜんそくのアスリートは原則的に限られた薬剤しか使用が認められておりません。認可薬剤以外の薬剤を使用する必要がある場合には事前に申請をして認可を受ける必要があります。
その場合には,定められた喘息に関する詳細な書類とともに医師の理由書を提出して,当該薬剤の使用に合理的な理由があるか審査を受けて認可される必要があります。
ぜんそくアスリート診療協力施設一覧
http://www.playtruejapan.org/medicine/hotline/
- 糖尿病:
- 2013 年 現在,インスリンが禁止物質に該当します。そのほかの抗糖尿病薬は禁止ではありません。
- 自己免疫疾患:
- 投与されることの多いステロイド薬(副腎皮質ホルモン剤)の経口投与や点滴投与は禁止されていますから,その場合にはTUE申請が必要です。
- 注)ステロイド薬(副腎皮質ホルモン剤)の使用:
- 経口投与・直腸投与・点滴投与は禁止されています。ただし,皮膚への塗布や腱鞘内・関節空内への投与や吸入使用は除外されています。
上記疾患でなくても,継続して薬の使用が必要な病気のある場合には必ず主治医に相談してください。
- ②注射・点滴
- 注射による薬物や水分の投与は,禁止方法です。ただし,病院内や救急搬送中の必要な医療行為は除外されます。事後に,TUE申請をしてください。
- ③輸血
- 輸血は,酸素運搬能力を高めるため禁止方法です。ただし,緊急治療の場合は治療後速やかにTUE申請をしてください。
- ④酸素吸入・酸素カプセル
- 酸素摂取や酸素運搬・供給を人為的に促進する行為はドーピング違反です。ただし,2010年の禁止表から"酸素自体の補給は除く"とされていますので,酸素吸入や酸素カプセルの使用は違反にはなりません。そのメリットやデメリットを十分に納得した上で利用してください。